コラム(月1更新)
平成30年分所得税の確定申告も佳境に入っています。 当事務所でもお客様から送っていただいた資料が続々と届き、一年で一番書類の多い時期となっているのではないでしょうか。 さて今回は、そうした個人事業主さんが、事業拡大などに伴って法人化する際の手続きについてご紹介したいと思います。
1.法人の設立 まず事業を引き継ぐ法人を設立します。
・定款を作成する 会社の根本となる規則で、商号(会社の名前)、会社の事業目的、所在地、資本金、事業年度(決算日)などを定めます。
・定款の認証を受ける 作成した定款を公証役場で公的に証明してもらいます。
・設立の登記 定款で定めたことなどを登記簿に記載し、法人の存在を公的に認めてもらいます。
2.資産の引き継ぎ 個人事業で所有し事業に使用していた資産を、法人でも使用する場合にはそれらを引き継ぐ必要があります。 これにはいくつかの方法があります。
・資産の売買 個人から法人へ売却する場合には、原則時価での取引となります。 ただ、「時価」については様々で、土地については路線価、固定資産評価額、公示価格など、また土地以外の建物や設備等については減価償却後の帳簿価額が時価として考えられます。
・資産の賃借 個人所有のまま法人へ資産を賃貸する方法になります。 この場合、賃貸人である個人は法人からの賃貸料が発生しますので、引き続き不動産所得などが発生し、所得税の確定申告をする必要があります。
・資産を現物出資する 会社設立の際に資本金を金銭で出資する代わりに、個人所有の事業用資産を出資する方法になります。
3.税務署等への届出 法人を設立した時には、税務署などへ各種届出書の提出が必要となります。 ・法人設立届出書(税務署・都道府県税事務所・市役所) ・給与支払事務所等の開設届出書(税務署) ・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(税務署) ・青色申告の承認申請書(税務署)
4.個人事業の廃業 法人の設立が完了し事業を法人へ移行したら、下記の届出書を所轄税務署長に提出し、個人事業の廃業手続きをします。 ・「個人事業の開業届出・廃業等届出書」 ・「事業廃止届出書」(消費税を納めていた事業者の場合のみ) ・「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書」(従業員への給与支払いがあった場合のみ) ・「青色申告の取りやめ届出書」(青色申告をしていた場合のみ)
5.個人事業の最後の確定申告 法人成りしてひと安心ですが、忘れてはいけないのが、個人事業を廃業するまでの分の、確定申告です。 その年の1月1日から個人事業廃止までの期間分の所得について翌年3月15日までに確定申告をする必要があります。 その際ですが、もし法人成りする時の資産の引き継ぎを「売買」で行った場合には、 譲渡所得の申告も必要となってきますので注意が必要となります。
個人で事業を営むよりも法人化した方が節税の方法が広がります。 事業が順調で所得税の負担が増えてきたなとお感じの方は、一度当事務所にご相談下さい。
アイエクシード税理士法人 藤田