コラム(月1更新)
年末調整が近づきますと、給与所得者は扶養控除等申告書を作成することになります。この扶養控除等申告書ですが、軽く扱うとあとで痛い目にあうことになります。
扶養控除等申告書を提出しないと、給与(賞与を含む)の所得税額の計算に不利となります(所185・186)。また、年末調整もできないこととなっております(所 190)。その場合、超過分の還付もできなくなります。また、税務調査の時に提出 を求められ、届出書がないと、税務署から高い税金を課される恐れもあります。 給与の支給日などが決まっている給与所得者は毎年最初の給与支給日の前日まで給与支払者に扶養控除等申告書を出すべきでしょう。配偶者控除や扶養控除や 障害者控除などの各種の控除を受けない場合を除いてはですが。また、給与支払者は提出された扶養控除等申告書を7年間保存することとなります(則76-3)。
一方、平成28年より番号法が施行されました。扶養控除等申告書には、控除対象配偶者や扶養親族や申告者の個人番号(マイナンバー)を記入することになっています(所194)。但し特例があり、控除対象配偶者等の氏名や個人番号の記入さ れた帳簿が扶養控除等申告書を提出する前に備えてあれば、個人番号は記入しなくともよいようです(所198⑥)。また、給与支払者と従業員の合意に基づき、扶養控除等申告書の余白に、個人番号が会社に提出したものと相違ない旨を記し、給与支払者がそれを確認した旨を表示した場合にも、個人番号を記載しなくともよいのですが、税務署からその扶養控除等申告書の提出を求められた時には、個人番号を記載する必要があります。
なお、個人番号は正当な理由がないときは第三者にむやみに提供しないように注意が必要です。アメリカでは他人のマイナンバーを使って、税金の還付請求をした実例もあるようです。また、扶養控除等申告書の保管を外部に委託すること は問題ないのですが、委託を受けた者は番号法の厳守が求められるのは言うまでもありません。