コラム(月1更新)
5月も終わり、土日を挟んで6月2日、3月決算法人の申告期限を迎えました。
様々な事情で、もっと時間に余裕をもって申告できたら、という法人様もいらっしゃるかもしれません。
もし、特定の要件に該当する場合、次の決算から、申告期限を6月末まで延長できる可能性があります。今回はその制度「定款の定め等による申告期限の延長の特例」についてご紹介いたします。
制度概要
法人税の申告期限は、原則、事業年度終了の日の翌日から2か月以内となっています。
しかし、「定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請書」を納税地の所轄税務署長に提出して承認を受ければ、申告期限を1か月(もしくは指定の月数)延長することができます。
提出期日は、最初に適用を受けようとする事業年度終了の日まで(通算法人以外)です。取りやめの届出を提出しない限り、今後の決算にも適用されます。
なお、地方税・消費税の申告期限の延長については、法人税の延長を受けていることを前提として、それぞれ別の届出を提出する必要がありますので、ご注意ください。
適用要件
国税庁のサイトにて6個の要件が提示されており、いずれかを満たすとき申請ができます。
ここでは、一番該当する可能性が高いと考えられる要件について注目します。
◆定款等の定めや特別の事情により、事業年度末日の翌日から2か月以内に定時株主総会が招集されない場合
申告書を作成するには、株主総会の承認を受ける必要があるためです。会社法の関係上、「事業年度終了後3か月以内に定時株主総会を招集する」と定款で定めている会社も多いと思います。その場合、要件を満たすことになります。
納税についての注意
ここまで申告期限の延長について述べましたが、納税期限が延長されるわけではありません。納税期限から申告期限までの1か月間、国税は利子税、地方税は延滞金がかかってしまいます。
それを避けるために、概算税額を算出して、納税期限までに「見込納付」をするのが一般的です。
以上、申告期限の延長の特例についてご紹介させていただきました。
要件を満たす場合は、余裕をもった申告のために、延長のご検討をしてみてもいいかもしれません。
参考:国税庁「C1-17 定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_12.htm